糖尿病とは?

糖尿病イメージ

食事を摂取すると栄養素の一部は糖となって腸管から吸収されます。食事をしない時間が続くと主に肝臓から糖が作られて体のエネルギー源となっています。糖は常に血液中を流れていて膵臓から分泌されるインスリンの作用で細胞内へ取り込まれます。糖尿病はインスリンの分泌低下やインスリンの作用不足などが起こることで糖を細胞内へ取り込めなくなり、血液中の糖が増加している状態のことを言います。

日本の糖尿病が疑われる人は2000万人以上いると言われており現在も増加傾向です。世界全体でも糖尿病患者の増加は問題になっており2019年の段階で4億6300万人に達していています。糖尿病は大きく分けると下記のように4つの種類に分類されます。

  • 1型糖尿病:膵臓のβ細胞破壊からのインスリンが分泌されない状態
  • 2型糖尿病:インスリン分泌の低下やインスリンの反応低下
  • 妊娠糖尿病
  • その他の特定の機序や疾患によるもの(薬剤や内分泌疾患など)

1型糖尿病は、自己免疫の異常やウイルス感染により膵臓のβ細胞を破壊されインスリン自体を自分で分泌できなくなる状態になります。そのため、インスリン注射が必須になります。
10代から20代の若い人に発症することが多いですが、高齢者でも突如発症することがあります。糖尿病患者のほとんどを占める2型糖尿病の原因は、食べ過ぎや運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因で起こります。血縁者の中に糖尿病が多い家系では、健常者より糖尿病が発症する可能性が高いと言われています。

糖尿病の症状としては、初期はほとんど症状が現れません。血糖が高値の状態を放置し病状が進行すると血液透析が必要になる糖尿病性腎症、失明になってしまう糖尿病性網膜症、下肢切断に至ってしまう糖尿病性神経障害の合併症につながります。また、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の大きな危険因子になると言われています。

糖尿病と診断するには?

血液検査で血糖値や検査値を確認します。さらに症状、臨床所見、家族歴などを確認し総合的に判断します。2回血液検査を行い糖尿病型であれば糖尿病と診断します。一度の血液検査でHbA1cと血糖値の両方で糖尿病型が確認された場合も糖尿病と診断します。

糖尿病型 血糖値 空腹時血糖 ≧126 mg/dL
随時血糖 ≧200 mg/dL
ブドウ糖負荷試験 2時間値 ≧200mg/dL
HbA1c ≧6.5%

糖尿病の検査は?

糖尿病の検査は主に血液検査を行います。さらに糖尿病性腎症のチェックとして尿検査、糖尿病性網膜症のチェックとして眼科受診、糖尿病性神経障害のチェックとして血圧脈波検査などが必要になります。また糖尿病は動脈硬化疾患であるため、心電図や心臓、頸動脈のエコー検査などの全身のチェックが必要になります。

糖尿病の治療は?

糖尿病の治療は食事療法、運動療法、薬物療法になります。
食事療法の基本は、摂取するカロリーの制限になります。規則正しい時間に食事を摂取し間食は避けます。よく甘い物を食べ過ぎなければいいと思っている方も多くいらっしゃいますが、甘い物は脂質も多く含んでおりカロリーも高いですので注意が必要です。また食べ物すべてにカロリーがありますので摂取するカロリーを制限することが重要になります。

運動療法は、摂取したカロリーを消費し血糖値を下げるだけではなく、体重を減らす、血液の循環を良くする、インスリンが効きやすい体になるなど多数のメリットがあります。運動療法のお勧めは、有酸素運動を中心とした全身を使った運動です。運動強度はややきつめの運動を週に3回、各々15分以上行うことが目標となります。

薬物療法としては、内服と注射薬による治療があります。薬の種類は一人一人の状態に応じて決定し定期的な通院が必要になります。糖尿病は、「治る病気」、「治らない病気」ではなく合併症にならないように血糖の管理を行えば、健康な人と同等に生活できます。糖尿病の合併症を予防するためにHbA1cは7%未満に制御する必要がありますので患者さんの背景に合わせた薬物治療が必要になります。